
序章
本記事では,関東を中心としITを学べる国公立大学について,その授業内容の詳細や入学難易度及び科目を詳しくまとめました。
情報の分野に興味がある中高生の方は,ぜひ参考にしてください。
偏差値は合格難易度の目安であり,全統模試が基準です。

東京大学 (偏差値67.5)
言わずと知れた最難関国公立大学「東京大学」でも,情報技術を学ぶことができます。
東京大学では,推薦入試を除き原則「理科一類」「理科二類」「理科三類」「文科一類」「文科二類」「文科三類」の6つの科類から入学し,前期課程でそれぞれの教養学部(例えば理科一類入学なら,理科一類教養学部)に属して3年次の進学振り分けで専門分野を決めます。
工学部の進学枠はそのほとんどが理科一類に割り振られているため,工学部を希望する場合には原則として理科一類入試を受けることになります。
共テと二次の配点はそれぞれ110点と440点で,二次の科目は以下の通りです。
国語・・80点満点数学(1A2B3C)・・120点満点英語(リスニング含)・・120点満点理科(物理/化学/生物/地学から2科目選択)・・120点満点
東京大学は,各予備校で冠模試と呼ばれる本番と同じ形式・難易度の模試が年に数回ほど実施されていますので,もし東京大学に興味がある場合にはぜひ受験してみてください。また,冠模試は原則として受験生を対象とした模試ですが,高2生以下を対象とした東進主催の「高2東大本番レベル模試」もあります。
東京大学工学部に設置されている学科は,以下の通りです。
社会基盤学科,建築学科,都市工学科,機械工学科,機械情報工学科,航空宇宙工学科,精密工学科,電子情報工学科,電気電子工学科,物理工学科,計数工学科,マテリアル工学科,応用化学科,化学システム工学科,化学生命工学科,システム創成学科

東京科学大学 (偏差値65)
東京科学大学は,理系最高峰の東京工業大学が2024年度に医科歯科大学と合併して新たに設置された大学です。理系単科大学としては最難関であり,入学者の純粋な「数学力」を重要視していることで有名です。
東京科学大学は「学院」という単位で入試を分けており,情報技術を学ぼうとする場合は基本的に工学院か情報理工学院のどちらかを目指すことになります。
どちらも入学偏差値は65程度ですが,情報通信系は工学院に位置し,コンピューターの技術それ自体(アルゴリズムやモデルなど)は主に情報理工学院で扱われます。
共テは足切りのみに使われ,最終的に二次試験の得点のみで合否が判断されます。二次の科目は以下の通りです。
数学(1A2B3C)・・300点満点英語(リスニングなし)・・150点満点理科(物理/化学)・・300点満点
とりわけ二次試験の数学は試験時間が180分(大問5つ)と全国の大学入試の中で最長であり,東京大学以上の難易度の問題が数多く出題されます。

筑波大学 (偏差値55~60)
筑波大学は茨城県つくば市にある国立大学で,準難関に位置づけられます。
筑波大学は「学群・学類」という単位で入試を分けており,情報技術を学ぼうとする場合は主に情報学群や理工学群を目指すことになります。
情報学群に設置されている学類は「情報科学類」「情報メディア創成学類」「知識情報・図書館学類」で,理工学群に設置されている学類は「数学類」「物理学類」「化学類」「応用理工学類」「工学システム学類」「社会工学類」です。
入学偏差値は55~60程度で,情報系学類は高い競争率となる傾向です。
二次試験は1600点満点で,共通テスト1000点満点(情報は100点満点での得点を25点満点に圧縮した得点に75点を加えた得点)と合わせて合否が判断されます。
二次試験の科目は以下の通りです。
数学(1A2B3C)・・・700点満点英語(他外国語可能)・・・400点満点理科(物理/化学/生物/地学から2つ選択)・・・500点満点
つくばエクスプレスにより都心からある程度短時間でアクセスできるものの,学生宿舎や民間のアパート・マンションを利用している割合は79.3%と非常に高く,多く学生が寮生活をしている点が特徴です(参考 P65)。

千葉大学 (偏差値52.5~62.5)
千葉大学は多彩な学部を持つ総合大学で,特に医学や理工系分野が有名です。
千葉大学では学部・学科ごとに入試が行われ,理学部,工学部,情報・データサイエンス学部(2024年設置)などで情報技術を学ぶことができます。
設置されている学科は以下の通りです。
```MarkDown
【理学部】
数学・情報数理学科(44名)
物理学科(39名)
化学科(39名)
生物学科(39名)
地球科学科(39名)
【工学部】
総合工学科/建築学コース(69名)
総合工学科/都市工学コース(42名)
総合工学科/デザインコース(64名)
総合工学科/機械工学コース(74名)
総合工学科/医工学コース(39名)
総合工学科/電気電子工学コース(76名)
総合工学科/物質科学コース(79名)
総合工学科/共生応用化学コース(97名)
【情報・データサイエンス学部】
情報・データサイエンス学科(100名)
```
(引用元:千葉大学/学部・学科|マナビジョン|Benesseの大学受験・進学情報)
とくに,千葉大学工学部は,東京高等工芸学校(東京工業専門学校,東京高専とも。現在の東京工業高等専門学校とは無関係。)を前身としており,長い歴史があります。
共通テスト(475点満点)の結果と二次試験(900点満点)の得点から合否が判断されます。
二次試験の科目は以下の通りです。
数学(1A2B3C)・・・300点満点英語・・・300点満点物理基礎/専門物理・・200点満点化学基礎/専門化学・・100点満点
なお,英語の試験には保有資格による加点制度があり,最大で10点(CSEスコアで2300以上,英検準一級程度)まで追加点を得ることができます。
ちなみに,千葉大学には先進科学プログラム(飛び入学)が設置されており,いわゆる"飛び級"
が認められています。数学オリンピックや情報オリンピックに入賞できる程度の卓越した実力の
ある高1・高2生の方は,ぜひ目指してみてください。

電気通信大学 (偏差値52.5~55)
電気通信大学は無線電信の講習所を全身とした有名国公立大学です。学部は情報理工学域のみで,その中にⅠ類(情報系)・Ⅱ類(融合系)・Ⅲ類(理工系)があります。
Ⅰ類は一般的なプログラミングやメディア学を中心とする一方で,Ⅱ類は「医用工学」「ロボティクス」など情報技術の応用,Ⅲ類は物理的な電子回路の設計やネットワーク通信,セキュリティなどインフラに近い領域を学びます。
入学偏差値自体は52.5~55ですが,後期日程を設けており,後期においては「東大落ち後期電通大」や「東工大落ち電通大」など最難関大学から流れてきた受験生が多く受けるため,やや入学偏差値が高くなっています。
共通テストと二次試験の配点はそれぞれ500点で,二次試験の科目は以下の通りです。
数学(1A2B3C)・・200点満点英語・・100点満点物理/化学/情報から2科目選択・・200点満点
二次試験の科目が特殊で,英数は必須ですが,理科については「物理」「化学」「情報」の3科目から2科目を選択して受験できます。
つまり,もし物理や化学が苦手という場合,どちらか片方と情報を使って二次試験を乗り切ることができるということです。

横浜国立大学 (偏差値55~62.5)
横浜国立大学(横国)は千葉大学に並ぶ国立大学で,難易度としては私立だとMARCHの上位学部~早慶の下位学部程度とされています。
理工学部があり,設置されている学科は以下の通りです。
```MarkDown
数物・電子情報系学科/数理科学教育プログラム
数物・電子情報系学科/物理工学教育プログラム
数物・電子情報系学科/電子情報システム教育プログラム
数物・電子情報系学科/情報工学教育プログラム
機械・材料・海洋系学科/機械工学教育プログラム
機械・材料・海洋系学科/材料工学教育プログラム
機械・材料・海洋系学科/海洋空間のシステムデザイン教育プログラム
化学・生命系学科
```
なお,理工学部は同じ学科内でも学科内のプログラムごとに受験を行います。プログラムが一つしか設定されていない化学・生命系学科を除くと,同じ学科内に限り他の教育プログラムを第2志望とすることが可能です。
共通テスト1000点満点・二次試験1200点満点で,二次の科目は以下の通りです。
数学(1A2B3C)・・450点満点英語・・300点満点物理/化学・・450点満点
とりわけ数学は試験時間が150分(大問5つ)で比較的難易度が高く,数3の領域が多く出題されています。もし横浜国立大学を目指す場合には,遅くとも高3の夏,できれば高2の間に数3の教科書レベルを一通り終わらせておくと良いと思います。
注意
横浜国立大学では,一般入試の場合にも自己推薦書の提出が求められています。
受験する場合には純粋な学力のみならず,学びたい意欲や明確な志望理由が必要です。

東京都立大学 (偏差値52.5~60)
東京都立大学は,首都大学東京の名称で知られる公立大学です。
理学部とシステムデザイン学部があり,それぞれ「数理科学科」「物理学科」「化学科」「生命科学科」と「情報科学科」「電気電子工学科」「機械システム工学科」「航空宇宙システム工学科」「インダストリアルアート学科」が設置されています。
上記の中でも特に「情報科学科」ではプログラミング,データサイエンス,機械学習などが扱われており,また「電気電子工学科」や「機械システム工学科」では電気回路やロボット工学を学ぶことができます。
入試の科目や配点は学部・学科によって異なるため,ここではシステムデザイン学部情報科学科を基準とします。共通テストは450点満点,二次試験は610点満点で,二次の科目は以下の通りです。
数学(1A2B3C)・・200点満点英語・・200点満点物理/化学/生物から1科目選択・・200点満点調査書・・10点満点
英語は200点満点ですが,そのうちの半分の100点は共通テスト英語の点数か英検などの保有資格を点数化したもののうち,高い方の点数で代替とします。
そのため,早い段階で英検などの外部資格を取っておくと有利です。
また,募集人数はかなり少ないものの,後期日程が設置されています。

最後に
本記事では,情報や技術を学べる関東圏の国公立大学を一覧とさせて頂きました。もし情報学や工学に興味がある場合には,ぜひ上記のリストを参考にしてください。
また,本記事では言及していませんが,群馬大学や埼玉大学,茨城大学などにも理工学部・工学部が設置されており,同様に情報関連の内容を学ぶことができます。