【openSUSE】歴史が長く、洗練されたLinuxディストリビューション
最終更新 2023/03/10 17:02
本記事ではopenSUSEというLinuxディストリビューションを紹介します。
Linuxにはまり始め、もっといろんなディストロに触ってみたいという方や、成熟した出来のいいディストリビューションを探している方向けに執筆しております。
openSUSEとは
openSUSEは、Slackware系の歴史のあるLinuxディストリビューションです。
実はこのディストリビューション、2000年ごろから存在するかなり老舗のディストリビューションです。(当時はopenSUSEではありませんが)
2000年といえばWindows 2000やWindows ME、ちょっと前にWindows 98がリリースされたような頃です。
まだまだインターネットが普及しておらず、かたや一部のギークはインターネットに熱狂していた、そんな時代(だったらしい)です。
さて、先ほど当時はopenSUSEではないという風に書いたと思います。
実は、当初はS.u.S.E. Linuxという名称だったんです。
openSUSEは歴史が長いのでちょっと沿革が長くなりますが付き合ってください。
※Andreas Lundqvist, Donjan Rodic. Modified by Michaeldsuarez. - http://futurist.se/gldt/2012/10/29/gnulinux-distribution-timeline-12-10/. Modified by Michaeldsuarez with LibreOffice Calc, gnuclad, and Inkscape., GFDL 1.3, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=23455596によるというのも、当初はSUSE社が開発する商用のLinuxディストリビューションだったんです。
ところが、2003年にSUSE社がNovell社に買収されたことにより、SUSE Linuxの方針が大きく変わります。
まず、S.u.S.E. LinuxのProfessionalとPersonalが統合され、SUSE Linuxとなります。
次に、Enterprise版が新しくでき、これをSUSE Linux Enterprise(SLE)と呼びます。
2005年には、openSUSEコミュニティというコミュニティが発足し、これが主体となり、SLEベースでディストリビューションの開発をはじめました。
これが、今回紹介するopenSUSEです。
ちなみに、S.u.S.E. Linuxもそうですし、SUSE LinuxやopenSUSEにも使われている「SUSE」は、「Software und(英語ではand) System Entwicklung」の頭文字をとって名付けられたそうです。
openSUSEは、これ自体で成熟したディストリビューションを目指しており、派生(フレーバー的な)を量産せずにメインストリームに全力を注ぐことが特徴の一つです。
ちなみに、メインストリームに全力を注いでるとはいえopenSUSEには二つのエディションがあります。
LeapとTumbleweedです。
Leapは飛躍という意味で、Tumbleweedは転がり草という意味です。
めっちゃ簡単に言えば、TumbleweedはopenSUSEの実験的な立ち位置で、これでの成果がLeapやSLESに反映されます。
RHELでのFedora的な立ち位置ということですね。
大きな違いは、Tumbleweedはローリングリリースモデルを採用しているということです。
Tumbleweedではいかに最新の環境かというのが重要になるのでローリングリリースを採用しているというわけですね。
一般的な用途であればLeapで問題ありませんが、開発者やopenSUSEプロジェクトに貢献したい方はTumbleweedを使ってみるといいかもしれません
また、歴史が長いためアップストリームのプロジェクトとの関係が深いことも特徴の一つです。
詳細情報
デスクトップ環境はKDE Plasma、GNOME、Xfceが公式からリリースされているほか、ほかにも無数に存在しているらしいです。
、、、と自分で書いていて違和感があるというか、openSUSEってめっちゃPlasmaな印象があるんですよね。
あと、複数デスクトップ環境が用意されていますが、別のエディションがあるわけではなく、インストール時にデスクトップ環境を選択できるようです。
フルイメージみたいなやつにはこういう機能があるディストリビューションもありますが、このタイプはちょっと珍しいような気がしますね。
これも、エディションを量産せず、メインストリームを成熟させたいという目標の現れなんでしょうか。
※Nasagattosuse - 投稿者自身による著作物, GPL, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=79325071による外観はこんな感じです。
素のKDE Plasmaって感じですが、若干カスタマイズされているようなされていないようなって感じです。
まあ、アプリケーションメニューのアイコンはGeeckoになっていてカスタマイズされているのがわかりますね。
パネルの時計ウィジェットもKDE neonで見たものとはちょっと違う気がします。
また、openSUSEの人気の理由に、YaSTがあります。
YaSTは「Yet another Setup Tool」の略で、openSUSEのシステムに関するほとんどの設定を行うことのできる総合管理ツールです。
Nasagattosuse - 投稿者自身による著作物, GPL, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=79325126による今でこそストアアプリから気軽にアプリケーションのインストール, アンインストールが行えますが、昔はそうはいかなかったのではないかなと思います。
そう考えると、1996年、openSUSEの前身の最初のほうのリリース当時からこの機能があったというのはすごく革新的だったのではないかと思います。
システム要件は、
となっています。
※最小構成でのインストールの場合は3GBほど。グラフィカルデスクトップ(デスクトップ環境)を必要とする場合は5GBが必要です。また、ソフトウェア等を導入し使っていくことを考えるとこれでは足りないのでメイン環境として使うのであればもっと(少なくとも30GBほど)用意する必要があります。また、推奨スペックは
となっています。
ただし、メモリに関して、デスクトップ環境がKDE Plasma, GNOME, Xfceの選択式であることを考えると、
KDE Plasma: 4GB
GNOME: 4GB
Xfce: 2GB
といった認識のほうがいいと思います。
パッケージ提供方式はrpmとなっています。
そのため、パッケージ管理システムは、yum, zypperとなっています。
zypperの場合、
パッケージを検索するには、
zypper se [パッケージ名]
という風にコマンドを管理者権限で実行します。
インストールするには、
zypper in [パッケージ名]
とコマンドを管理者権限で実行することでインストールすることができます。
ちなみに、seはserchの略で、フルで書いてもかまいません。
つまり、
zypper serch [パッケージ名]
とコマンドを実行することもできます。
同様に、inはinstallを表し、フルで記載、つまり
zypper install [パッケージ名]
とコマンドを実行することもできます。
好みなほうを使えばいいと思いますが、個人的にはフルで書くほうがaptと書式が近づくのでフルのほうが好きですね。
ちなみに、yumの場合は、
パッケージの検索は
yum search [パッケージ名]
とコマンドを管理者権限で実行することで。
パッケージをインストールする場合は
yum install [パッケージ名]
とコマンドを管理者権限で実行することで行えます。
また、前述したYaSTでパッケージ管理を行うこともできます。(というかopenSUSEの場合こっちのほうが本命なのかもしれません)
日本語入力ソフトは、デフォルトで導入されています。
まとめ
openSUSEは非常に歴史が長く、洗練されたディストリビューションです。
Linuxに少し慣れてきた方はぜひこのディストリビューションを使ってみてはいかがでしょうか。